SASIMI2025

2025年10月9日から10月10日に奈良県奈良市で開催された、The 26th Workshop on Synthesis And System Integration of Mixed Information technologies (SASIMI2025)において、M2の劉さんとM1の古池さんが研究成果を発表しました(発表は9日)。

Y. Liu, Y. Haruta, Y. Masuda, and T. Ishihara, “Equalizing QAM Waveform Distortion with Linear SVM Classifier and its Machine Learning Dataset Generation,” Proc.  26th Workshop on Synthesis And System Integration of Mixed Information technologies (SASIMI), pp. 66 – 71, Oct. 2025.


Quadrature Amplitude Modulation(QAM)とは、通信において振幅と位相の両方を用いて情報を符号化する変調方式である。 QAM信号は光伝送プロセスなど、さまざまな要因により波形が歪む。本研究では、まずQAM通信におけるデータセット生成に焦点を当て、波形歪みの傾向を正確に学習することを目的とした。次に、事前に学習した歪み傾向に基づいて受信QAMシンボルを識別するサポートベクタマシン(SVM)分類器を用いた波形等化手法を提案した。 評価実験により、提案手法は既存モデルと比較して計算コストを80%削減しつつ、2種類のデータセットにおいてそれぞれ99.01%および99.51%の分類精度を達成できることを確認した。

A. Koike, Y. Masuda, and T. Ishihara, “Enhancing Hardware Trojan Detection via ATPG-Based Transition Delay Fault Testing with Split Fault Lists,” Proc.  26th Workshop on Synthesis And System Integration of Mixed Information technologies (SASIMI), pp. 44 – 49, Oct. 2025.


LSI(大規模集積回路)の高機能化に伴い、開発工程が分業化し、悪意ある第三者によるハードウェアトロイ(HT)挿入の危険性が指摘されている。HT は特定条件下で不正動作や情報漏洩を引き起こす小規模な不正回路であり、検出には高精度な手法が求められる。 本研究では、LSI 製造時に挿入される HT に着目し、回路の消費電力解析に基づきHTを検出するための自動テストパタン生成(ATPG)手法を提案する。提案手法では、HT回路の位置が不明な状況でも活性化を促進するパタンを生成し、さらに回路全体の不要なスイッチングを抑制することで、HTによる電力変化を際立たせる。

SLDM優秀発表賞受賞

2025年8月27日から29日に石川県加賀市で開催された DAシンポジウム2025において、2024年度M2卒の王淳露さんが下記の賞を受賞しました。おめでとうございます!授賞式は8月29日に開催されました。

  • 王淳露, SLDM 研究会優秀発表賞, 2025年3月.
    (受賞対象論文:王 淳露,増田 豊,石原 亨, “A Mixed Signal Simulation Framework based on Verilog and SPICE for Optoelectronic Neural Network Circuits,” 第252回ARC・第208回SLDM・第68回EMB合同研究発表会(ETNET2025), 知名町, 2025年3月.)

    本研究では、光信号と電気信号が混在する光電融合ニューラルネットワーク回路のミックスドシグナルシミュレーションモデルを提案しました。提案モデルは、SPICEネットリストで記述した受光器やCMOS回路とVerilog-AMSで記述した光変調器や光合流器などを同じシミュレーションフレームワークで扱うことを可能にします。また、ノイズが光ニューラルネットワーク回路の推論精度に与える影響を解析するため、Verilog-AMS記述に基づくガウスノイズ発生器も作成しました。このVerilog-AMS記述のノイズモデルにより、ノイズを考慮した大規模光電融合回路シミュレーションが可能になることを示しました。本研究成果は光電融合回路の研究を民主化する重要な取り組みと考えています。

MPSoC 2025

2025年6月15日から20日にフランスのメジェーブで開催されたMPSoC2025において、石原教授が研究成果を現地で発表しました(発表日は16日)。世界中からコンピュータ関連の第一人者が集まる非常にレベルの高い国際会議です。

Title: A Challenge to Real-time Compensation for QAM Signal Distortion using Optical SVM Classifiers

本講演では、サポートベクトルマシン(SVM)分類器を光回路として設計し、それを使ってQAM通信における受信シンボルの波形歪み補償と2進復号化をリアルタイムに実現する方法を提案しました。機械学習に基づく光SVM分類器によってQAM通信の高い広帯域性を保ったまま受信処理における消費エネルギーの削減を可能にします。次世代広帯域通信の省エネルギー化技術として必要不可欠な技術と考えています。

ISQED2025

2025年4月23日から4月25日にアメリカ合衆国のサンフランシスコで開催された、26th International Symposium on Quality Electronic Design (ISQED2025)において、M2の川村くんが研究成果を発表しました(発表は25日)。

Teppei Kawamura, Yutaka Masuda, and Tohru Ishihara “Piecewise-Linear Approximation of Self-Attention and Its Accuracy-Aware Training for Area-Efficient Vision Transformer Inference Accelerator,” Proc. IEEE International Symposium on Quality Electronic Design (ISQED2025), San Francisco, CA, USA, April 2025.

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Vision Transformer(ViT)は、画像処理に特化したニューラルネットワークモデルである。
ViTはSelf Attention処理により画像内の広範な相関関係を捉え、高精度な推論を行うことが可能であるが、ハードウェア資源の消費が激しいという欠点がある。
本研究では、乗算とSoftmax関数に区分線形近似(Piecewise Linear Approximation) を導入し、Self Attention処理を効率よくハードウェア化する手法を提案する。さらに、比較実験の結果から、区分線形近似を導入したニューラルネットワークモデルに適した学習手法を明らかにする。
評価実験により、提案手法を用いてSelf Attention処理を近似しても、近似を行わないモデルと同等の画像分類精度を達成できることを確認した。加えて、提案手法により、Self Attention処理回路の面積を60.2%削減できることを確認した。
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COOL Chips 2025

2025年4月16日から18日に東京大学の武田ホールで開催されたCOOL Chips 2025において、石原教授がパネル討論のオーガナイザとモデレータを務めました(パネル討論は17日)。下記のタイトルで持続可能なAI技術に関する討論を行いました。

Title: Sustainable AI: Emerging Architectures, Devices, and Quantum Computing Towards Future Computing

パネル討論では、韓国ソウル大のJangwoo Kim教授、米コーネル大のJose Martinez教授、京都工繊大の小林和淑教授の素晴らしいポジショントークと会場からの気の利いた質問に助けられ、非常に有意義な議論が出来ました。

新メンバー加入

2025年4月1日から新たな研究室メンバーとして、
顧 鵬くん (Peng GU)
杜 笑天くん (
Xiaotian DU)
李 健鴻くん
(Jianhong LI)
浦野 友直くん (Tomonao URANO)
太田 充洋くん (Mitsuhiro OTA)
来海 太一くん  (Taichi KIMACHI)
小林 俊博くん (Toshihiro KOBAYASHI)
齋藤 翔太くん (Shota SAITO)
全 牧遥くん (Muyao QUAN)
が加わりました。

ETNET2025

2025年3月17日から3月19日に鹿児島県大島郡知名町で開催された第252回システム・アーキテクチャ・第208回システムとLSIの設計技術・第68回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2025)において、M2の王さんとM1の山口くんが研究成果を発表しました (発表は19日)。

王 淳露,増田 豊,石原 亨, “A Mixed Signal Simulation Framework based on Verilog and SPICE for Optoelectronic Neural Network Circuits,” 第252回ARC・第208回SLDM・第68回EMB合同研究発表会(ETNET2025), 知名町, 2025年3月.
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近年、光コンピューティングはポストムーア時代に対応する大規模集積回路に代わるものとして注目される。特に、光ニューラルネットワークの研究が活発であり、設計や開発において、シミュレーション環境は非常に重要な役割を担っている。既存の一般的なシミュレーション環境は、機能レベルまたは物理レベルのどちらかに偏重しており、それぞれに一定の不足がある。本稿では、精度評価と物理特性の両方に焦点を当て、光ニューラルネットワーク向けのHDLベース混合信号シミュレーションモデルを提案する。また、ノイズが推論精度に与える影響を解析するため、Verilog-AMSによるガウスノイズ発生器も作成した。評価実験により、SystemVerilog、Verilog-AMS、SPICEの協調シミュレーションとノイズ発生器が正常に動作することを確認した。
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山口 明生,増田 豊,石原 亨, “反復計算回数と演算ビット幅の削減に基づくクリティカルパス・アイソレーション回路の低消費エネルギー化,” 第252回ARC・第208回SLDM・第68回EMB合同研究発表会(ETNET2025), 知名町, 2025年3月.
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集積回路の省電力設計技術の一つとして,クリティカルパス・アイソレーション(Critical Path Isolation; CPI) が研究されている。CPI は本質的でないクリティカルパスの遅延を削減することにより、低電圧化と低消費電力化に貢献する。一方で、既存研究では一定の面積オーバーヘッドが存在することが示されている。このオーバーヘッドを抑えると同時に、低消費電力化を推進する手法として、CPI と近似計算(Approximate Computing; AC)を協調的に活用する設計技術が提案されている。ACとは、一部の計算や処理を簡略化し、消費エネルギーを削減する技術である。本研究では、近似計算に着目し、複数の近似計算手法を組み合わせ、CPI 回路の省エネルギー化を推進する手法を提案する。評価実験により、既存研究と比較し、消費エネルギー削減効果が増大することを確認した。
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情報処理学会 山下記念研究賞 受賞

2025年3月13日から3月15日に大阪府茨木市で開催された 情報処理学会 第87回全国大会において、D3の陳さんと本多さん(2023年度M2卒)が情報処理学会 2024年度 山下記念研究賞を受賞しました。おめでとうございます!

  • 陳岱鋒, 情報処理学会 2024年度 山下記念研究賞, 2025 年3月.
    (受賞対象論文:陳岱鋒,増田豊,石原亨, “Gain-Cell構造に基づく完全合成可能なスタンダードセルベースDRAM,” 情報処理学会DA シンポジウム, pp. 221 – 227, 2023 年9 月.)
  • 本多佑成, 情報処理学会 2024年度 山下記念研究賞, 2025 年3月.
    (受賞対象論文:本多佑成, 増田豊, 石原亨, “計算品質を考慮した適者生存戦略に基づき近似計算の品質検証を高速化するファジングテスト手法,” 第248 回ARC・第205 回SLDM・第65 回EMB 合同研究発表会(ETNET2024), 郷ノ浦町, 2024 年3 月.)