2025年4月23日から4月25日にアメリカ合衆国のサンフランシスコで開催された、26th International Symposium on Quality Electronic Design (ISQED2025)において、M2の川村くんが研究成果を発表しました(発表は25日)。
Teppei Kawamura, Yutaka Masuda, and Tohru Ishihara “Piecewise-Linear Approximation of Self-Attention and Its Accuracy-Aware Training for Area-Efficient Vision Transformer Inference Accelerator,” Proc. IEEE International Symposium on Quality Electronic Design (ISQED2025), San Francisco, CA, USA, April 2025.
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Vision Transformer(ViT)は、画像処理に特化したニューラルネットワークモデルである。
ViTはSelf Attention処理により画像内の広範な相関関係を捉え、高精度な推論を行うことが可能であるが、ハードウェア資源の消費が激しいという欠点がある。
本研究では、乗算とSoftmax関数に区分線形近似(Piecewise Linear Approximation) を導入し、Self Attention処理を効率よくハードウェア化する手法を提案する。さらに、比較実験の結果から、区分線形近似を導入したニューラルネットワークモデルに適した学習手法を明らかにする。
評価実験により、提案手法を用いてSelf Attention処理を近似しても、近似を行わないモデルと同等の画像分類精度を達成できることを確認した。加えて、提案手法により、Self Attention処理回路の面積を60.2%削減できることを確認した。
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2025年4月1日から新たな研究室メンバーとして、
顧 鵬くん (Peng GU)
杜 笑天くん (Xiaotian DU)
李 健鴻くん (Jianhong LI)
浦野 友直くん (Tomonao URANO)
太田 充洋くん (Mitsuhiro OTA)
来海 太一くん (Taichi KIMACHI)
小林 俊博くん (Toshihiro KOBAYASHI)
齋藤 翔太くん (Shota SAITO)
全 牧遥くん (Muyao QUAN)
が加わりました。
王さん、古池さん、春田さん、橋本くんに学位記が授与されました。おめでとうございます!

2025年3月17日から3月19日に鹿児島県大島郡知名町で開催された第252回システム・アーキテクチャ・第208回システムとLSIの設計技術・第68回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2025)において、M2の王さんとM1の山口くんが研究成果を発表しました (発表は19日)。
王 淳露,増田 豊,石原 亨, “A Mixed Signal Simulation Framework based on Verilog and SPICE for Optoelectronic Neural Network Circuits,” 第252回ARC・第208回SLDM・第68回EMB合同研究発表会(ETNET2025), 知名町, 2025年3月.
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近年、光コンピューティングはポストムーア時代に対応する大規模集積回路に代わるものとして注目される。特に、光ニューラルネットワークの研究が活発であり、設計や開発において、シミュレーション環境は非常に重要な役割を担っている。既存の一般的なシミュレーション環境は、機能レベルまたは物理レベルのどちらかに偏重しており、それぞれに一定の不足がある。本稿では、精度評価と物理特性の両方に焦点を当て、光ニューラルネットワーク向けのHDLベース混合信号シミュレーションモデルを提案する。また、ノイズが推論精度に与える影響を解析するため、Verilog-AMSによるガウスノイズ発生器も作成した。評価実験により、SystemVerilog、Verilog-AMS、SPICEの協調シミュレーションとノイズ発生器が正常に動作することを確認した。
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山口 明生,増田 豊,石原 亨, “反復計算回数と演算ビット幅の削減に基づくクリティカルパス・アイソレーション回路の低消費エネルギー化,” 第252回ARC・第208回SLDM・第68回EMB合同研究発表会(ETNET2025), 知名町, 2025年3月.
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集積回路の省電力設計技術の一つとして,クリティカルパス・アイソレーション(Critical Path Isolation; CPI) が研究されている。CPI は本質的でないクリティカルパスの遅延を削減することにより、低電圧化と低消費電力化に貢献する。一方で、既存研究では一定の面積オーバーヘッドが存在することが示されている。このオーバーヘッドを抑えると同時に、低消費電力化を推進する手法として、CPI と近似計算(Approximate Computing; AC)を協調的に活用する設計技術が提案されている。ACとは、一部の計算や処理を簡略化し、消費エネルギーを削減する技術である。本研究では、近似計算に着目し、複数の近似計算手法を組み合わせ、CPI 回路の省エネルギー化を推進する手法を提案する。評価実験により、既存研究と比較し、消費エネルギー削減効果が増大することを確認した。
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2025年3月13日から3月15日に大阪府茨木市で開催された 情報処理学会 第87回全国大会において、D3の陳さんと本多さん(2023年度M2卒)が情報処理学会 2024年度 山下記念研究賞を受賞しました。おめでとうございます!
- 陳岱鋒, 情報処理学会 2024年度 山下記念研究賞, 2025 年3月.
(受賞対象論文:陳岱鋒,増田豊,石原亨, “Gain-Cell構造に基づく完全合成可能なスタンダードセルベースDRAM,” 情報処理学会DA シンポジウム, pp. 221 – 227, 2023 年9 月.)
- 本多佑成, 情報処理学会 2024年度 山下記念研究賞, 2025 年3月.
(受賞対象論文:本多佑成, 増田豊, 石原亨, “計算品質を考慮した適者生存戦略に基づき近似計算の品質検証を高速化するファジングテスト手法,” 第248 回ARC・第205 回SLDM・第65 回EMB 合同研究発表会(ETNET2024), 郷ノ浦町, 2024 年3 月.)

2025年3月13日から3月15日に大阪府茨木市で開催された情報処理学会第87回全国大会において、B4の春田さんが研究成果を発表しました (発表は13日)。
タイトル : 線形SVM分類器の並列ハードウェア実装によるQAM復号の高速化
近年の広帯域通信にはQAM (Quadrature Amplitude Modulation)などの高次多値変復調方式が採用されている。QAM方式ではレシーバ回路側で復調したI/Q情報をリアルタイムに2進数の多ビット情報へ復号する必要がある。今日の広帯域通信においてはこの復号処理が大きな計算負荷となっている。本稿では、QAM復号処理を複数の2クラス分類問題に帰着させ、Support Vector Machine (SVM)に基づく専用ハードウェアを用いて並列にこの問題を求解する高速な復号手法を提案する。ハードウェア記述言語 (HDL)を用いたQAM復号回路の設計結果から提案手法の有効性を示す。

2月20日に、橋本くん、古池さん、春田さんが卒業研究の発表を行いました。みなさん、堂々と発表していました。
橋本 健太郎, “テンソルトレイン分解を用いたニューラルネットワークのモデル圧縮”
古池 明日香, “消費電力を考慮した自動テストパタン生成に基づくハードウェアトロイ検出手法”
春田 有希奈, “広帯域通信の省電力化に向けた線形SVMに基づくQAM復号処理のハードウェア化”


2024年12月16日に台湾の国立清華大学で行われた、国立清華大学‐東海国立大学機構合同ワークショップにて石原教授が下記タイトルで講演を行いました。
タイトル:NTHU-TSMC-NU Collaboration in VLSI Design, EDA, and Embedded Systems Fields
このワークショップは、国立清華大学と東海国立大学機構およびTSMCが半導体分野の研究教育で連携することを目的に開催されました。国立清華大学のKao学長と本機構の松尾機構長およびTSMCのMarvin Chang部長からの挨拶の後に両大学およびTSMCの各代表者からの講演が行われました。

2024年11月20日から22日にかけて神奈川県のパシフィコ横浜で開催された EdgeTech+2024 において、M1の劉さん、B4の古池さん、橋本くん、春田さんが研究紹介を行いました。本発表は、名古屋大学 高田・松原研究室、名古屋大学 枝廣研究室、南山大学 本田研究室との合同展示発表でした。
